大人のジブリ「風立ちぬ」に感動

2013/ 08/ 21
                 

お休みは雨でした。

いつもなら涼しい山へ出かけるぞ!という提案もほぼ全滅状態の雨模様で子どもたちも夏休みで揃っていたこともあり、久しぶりに映画でも!

ということになりました。でも、主人以外はみんなめんどくさい、出かけなくてもいい、なんていう感じでしたが?

 

「何見るのかな?」

「風立ちぬがいいなぁ~」

・・・・・無言

「じゃ、貞子?」

・・・・・

そう、やっぱりここで私が決断!「お父さんが最初に言った風立ちぬにしよう!」

「え~!!」

もう映画が始まるまで20分しかありませんでした。急いで戸締まりをして出かけます。文句を言いながらも子どもたちは靴を履いています。文句を言いながらも、まだついてきてくれているうちが幸せです。

いつもこんな感じの、行き当たりばったり状態です、小さなことから人生の決断まで・・・

 

私は正直あまり乗り気ではなかったという感覚のまま、なんの知識もないままに観に行きました。

ジブリ映画はファンタジーは好きだけれど、零戦の設計者とかって・・・

今の私には、もっと心が落ちてしまいそうな、そんなことにならないか、と不安なものがあったのです・・・

 

しかし、「風立ちぬ」は私に生きることへの応援をしてくれる、素晴らしい感動を与えてくれました。

零戦を設計した堀越ニ郎と、作家の堀辰雄という2人の人物を文学作品をベースに紡いだ素晴らしい大人の映画でした。

 

いろいろな場面に感動したのですが、なかでもとりわけ3点に絞ると、

 

①音が生きている

私が食いしん坊なのか、ニ郎が友人と夜中コーヒーを飲むのですが、その時のコーヒーを注ぐ音がものすごくきれい、実際よりも格段に素敵な響きで、今すぐお茶を入れたくなりました。そして、そこで食べていた「シベリア」というお菓子、あれは実在するのでしょうか・・・とても気になりました。

飛行機の立てる音、風の音、そして関東大震災の音・・・・どれをとっても心に突き刺さる響きでした。

 

②「君に風は吹いているか?力を尽くして生きろ!」

10年、君の力を尽くして、生きろ!映画の中で何度も出てくるのですが・・・

精魂尽き果てるほどの力の限りを尽くして、零戦の設計に人生を費やします。

それが正しいか、正しくないか、そういうことではない、モノを作る、ということへの純粋な感覚と抱える現実を抱きながら前に進む、という生き方について、現代も昔も「生きる」ということを真剣に考えているか!と問われたような気がしました。しかし、映画の中の堀越ニ郎はそんなあつく語ったり感情的な人物像ではなく、極めて理知的で冷静、もの作りに対して真摯で純粋、まっすぐでありながらそれでいて現実の戦闘機は戦闘機たる仕様で作りこんでいく、そんなひょうひょうとした人物として描かれているのです。とても魅力的な人物像です。

 

③繊細で丁寧な仕事

堀越ニ郎の人物像の人間的な魅力だけにとどまらず、映画の中での仕事ぶりは非常に計算され、理知的で丁寧であった、ということに感激。

東大卒であり、優秀であることは間違いないのですがおそらく私のような行き当たりばったりではない、脳の中できちんと計画的に予定された中での仕事ぶりに感動でした。中にはその予定が崩れると非常に苛立つ人もいると思うのですが、堀越ニ郎は違っています。関東大震災が起きても、戦争が起きても、恋人が病に冒されても、ニ郎は冷静で、ならば何ができるか、どう生きるか、考え、実行できる、とても魅力的な人物像に仕上がっているのです。そう、風が吹いているからこそ、力を尽くして生きているんです!

 

映画の冒頭、関東大震災のシーンがあるのですが、思わず震え上がってしまいました。

 

「上にあがれ~上がれ~!津波がそこまで来てるぞ~早く上がれ~!」誰が言っていたのかも今となってはわからずじまいですが、その叫び声で私は息子と友達と、その友達の子供たちとともに、車を途中で乗り捨ててマンションの上まで駆け上がったことを思い出しました。

 

映画の中での堀越ニ郎は、優秀な頭脳と丁寧な仕事、理知的な判断で非常に優れた戦闘機を作り上げたけれども、そこにある矛盾や不安といったものがあったにちがいない、と想像するのですがそれは描かれていません。そこには婚約者である病に冒された「菜穂子」との「愛」が心を支えていたからこそ生き抜いてこれたのだろうか、と解釈しました。2人の純粋な愛が愛おしい、短くても純粋な愛があれば幸せな人生だ!なんていう錯覚を起こさせるほどのシーンは手を握りながら仕事をするニ郎の姿!片手で定規を引く大会があったら優勝しそうだ!というジョークを言ってのけれるユーモアがあるところも魅力的です。

 

帰りの車の中ではいつになくお喋りな下の子は「感動した~今までのジブリの中で一番良かった」「最高の作品だ~」とか、

上の子は「俺は零戦の本読んだことあるんだけど、あの話、堀越ニ郎の話ではないな」とか。(長男は冷静だ)

あのシーンがどうのこうの、登場した電車がかなりレアものだ、あの人達はあの当時ではかなりのお金持ちだ、菜穂子さんのお父さんの職業は何?

帰りの車の中にはプチ評論家が座っていました。

 

それぞれが映画を通じて感じたことがあったようでした。私は「力を尽くして生きよ!」その言葉に時代を超えてエールをもらった感覚になりました。

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